名市大麻酔科の「集中治療」について
松山 周平
松山 周平

当院のICUはclosedでの麻酔科管理となっています。10床のベッドがあり、入室症例は先天性心疾患の新生児から、高齢心不全患者を含む心臓血管外科や重度の基礎疾患を持つ症例の術後管理、病棟での急変症例、救命センターへの搬送症例など多岐にわたり、年間500例に至ります。

ICUの1日は朝のカンファレンスから始まります。当直業務を担当したシニアレジデントが全体へ向けプレゼンテーションを行い、主科も含めディスカッションをします。

ICUの患者さんは主たる疾患以外にも様々な問題を抱えていることが多く、集中治療医のみならず、他科の医師や他職種との連携が不可欠です。当科では、朝カンファ以外にも感染管理部門とのICTカンファ、放射線科医との画像カンファ、管理栄養士との栄養カンファ、社会的側面に焦点を当てた多職種倫理カンファなどを行っており、一人の患者さんを多角的に捉える巨視的な観点が養われます。

また、ICUは急変の連続です。急変時には気管挿管や中心静脈穿刺など、高度な手技を正確かつ迅速に施行すること、さらに錯綜した現場を指揮するコンダクターとしての責務が求められます。手技に関しては、定常的に行っている手術麻酔での経験が、緊急時にも奏功していると強く感じます。

私は初期研修医の頃、救急外来で初療を担当した重症患者さんがICUへ入室していくのを見て、自分も初療後の治療や全身管理に携わっていきたいと考えたのが、ここでの研修を選択した理由の一つでした。

とはいえ、右も左もわからない状態で集中治療の領域に足を踏み入れ、治療や全身管理に関わるどころか、病態の把握さえ追いつかないことも多々あり、自身の非力を痛感するさなか、隣ベッドの急変対応に蘇生処置を遮二無二(しゃにむに)履行することしかできないこともありました。そんな中、上級医や同期、看護師さん、そしてなにより、たくさんのことを教えてくれる目の前の患者さんの広量で温かな心に支えられて、こんな私でも毎日少しずつ成長できていると実感しています。

今後も課題は果てしなく続いていきますが、日々悩みながらも愚直に奮闘し、一歩ずつでも前に進めればと思っています。

シニアレジデント 松山 周平(2018年3月)